英検1級 語彙問題 攻略法(3) 前置詞と副詞を制する者は熟語を制する
ある意味英検1級の最難関
今回は英検1級のある意味で最難関のパート、語彙のラスト4問を取り上げたいと思います。
そう、熟語です。
実は僕、英検の熟語問題には自信があります。
過去問ではたいてい4問中の3問は正解しています。4問全て合ってたこともそれなりにあります。
実際に僕が合格したときの英検1級の問題でも4問全ていただきました。
熟語がなぜ難しいのか
ではなぜ英検1級で熟語がそんなに難しいのでしょうか。
それは英検1級の単語集として最も定評のある「でる順パス単」を完全に覚えても正解が出てこない問題が多々あるからです。
正解選択肢が載っていないだけでなく、消去法すら使えないことすらよくあります。
たとえば2017年度第3回の(25)はこんな問題でした。
The boy waited for the school bus for 20 minutes before it finally ( ) him that it was Saturday and he did not have to go to school.
1 dawned on 2 zipped by 3 muscled into 4 staved off
この中でパス単収録単語は
なんと
ゼロ!
かろうじて3のmuscle intoがmuscle in on「~に強引に入り込む」と同義かなと推測できる程度です。自信がなくても仕方ありません。同じ意味であると信じます。祈ります。
もうこうなるとたまたま知っている表現が残りの3つの中にない限り、勘でいくしかありません。
確率は3分の1です。あなたならどれに賭けますか?
僕ならon, by, offなどの前置詞・副詞に注目します
it finally ( ) him that it was Saturday and he did not have to go to school
の部分は、仮主語のitがthat節の内容を指していて、「(その日は)土曜日で彼は学校に行く必要がなかったということが最終的に彼に( )」という意味だと判断できます。
では( )にはどのような内容が入るかですね。
こうなったら前置詞・副詞だけ見ます。
onかbyかoffかです。
「そばに」とか「~によって」のイメージのbyはなさそう。
「離れる」「スイッチを切る」というイメージのoffもなさそう。
「くっついている」「のしかかる」というイメージのonが正解の可能性が高いと判断します。
ではここで4つの熟語の意味を確認しましょう。
2のzipped byは「かすめる、さっと行く」、3のmuscled intoは「強引に割り込む」、4のstaved offは「辛うじて避ける[防ぐ・食い止める]、免れる」です。
そして1のdawned onは「〔事が〕~に理解され始める」ということでめでたく正解となりました。
まぐれかもしれませんので、もう1問いってみましょう。
今度は2018年第1回(22)からの引用です。
A: Hey, Vinnie, have you decided what you’re going to do during the summer vacation?
B: No, not yet. I’m still ( ) a few ideas, but whatever I do, I think I’ll stay local.
1 kicking around 2 palming off 3 clouding up 4 passing for
さて、あなたならどれを選びますか。
予定を聞かれて「まだ決まっていない。いくつか考えがある」という内容だと想像できましたか。
知っている表現が正解であればラッキーですが、そうでなければ賭けに出るしかありません。
注目するところは前置詞・副詞、そうaround, off, up, forだけです。
正解は……
1のkicking aroundです
go around「動き回る、あちらこちらに行く」やwalk around「歩き回る、うろちょろする」あたりの表現を知っていると、「あっちに行ったりこっちに行ったり」というイメージのあるaroundが選べます。
ちなみにそれぞれの意味は以下の通りです。
kick around「あれこれ考える、検討する」
palm off「押し付ける」…パス単にpalm A off B「AをBに押し付ける」あり
cloud up「雲で覆われるようになる」
pass for「~で通用する、~として通る」
もちろんこれだけで全部解けるわけではありません。
自信をもって「正解の熟語はこういう意味だ!」と断言できるほうが有利です。
ただ全く根拠なく塗り絵をするよりは正答率が高くなることと思います。
残念ながら同じ前置詞や副詞を含む選択肢が2つあることもありますけどね。
ベースとなるのは熟語の知識
ひょっとしたら
じゃあ熟語はもう覚えなくてもいいや
と思った人はいませんか?
それはおすすめできません
熟語を覚えれば覚えるほど前置詞や副詞のイメージが強くなるからです。
たとえば「頼る」というイメージの前置詞・副詞がイメージできますか?
僕ならonが最初に浮かびます。rely on, depend on, bank onがすべて「~に頼る」という意味ですね。
では「交代する」だったら?
僕のイメージはoverです。change overで「交代する」、take overで「引き継ぐ」、hand overは「引き渡す=持ち主が交代する」ですね。
副詞や前置詞のイメージは覚えている数が多ければ多いほど広く深くなります。
それにはやはり地道に熟語を覚えていくことが一番です。
それに
最近の英検1級の熟語問題はパス単のカバー率がむしろ上がっているから、しっかりと覚えた方がいいと思いますよ
前回おすすめした 単語は10秒で覚える感情・ジェスチャー・発声で覚える方法を使うと、前置詞のイメージが重なることがより実感できると思います。
・英検1級の熟語問題で正解選択肢がわからなかったら前置詞や副詞のイメージで判断しよう
・前置詞・副詞のイメージを深めるには熟語の知識が多ければ多いほどいい
皆さんの英語学習に少しでも役に立てば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
↓Twitterやってます
英語アカウント切り離します。本アカウントはあまりにも毒が強いので。 https://t.co/uLvtbPjhBp
— すたっぐびーとる (@stagenglish) 2019年11月15日